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橋本 俊輔*; 中島 健次; 菊地 龍弥*; 蒲沢 和也*; 柴田 薫; 山田 武*
Journal of Molecular Liquids, 342, p.117580_1 - 117580_8, 2021/11
被引用回数:3 パーセンタイル:25.84(Chemistry, Physical)エチレングリコール水溶液中に二酸化ケイ素(SiO)ナノ粒子を分散したナノ流体の準弾性中性子散乱測定(QENS)およびパルス磁場勾配核磁気共鳴分析(PFGNMR)を行った。研究目的は、このナノ流体の熱伝導率が理論値を超えて増加するメカニズムを解明することだった。得られた実験結果は、SiOナノ粒子の周りの液体分子の運動が非常に制限されているため、SiOナノ粒子の添加により、エチレングリコール水溶液中の液体分子の自己拡散係数が低下していることを示す。そして温度一定の条件で、SiOナノ流体中で、液体分子の自己拡散係数が減少するにつれて、熱伝導率が増加した。
大野 英雄; 松尾 徹*
Journal of Nuclear Science and Technology, 27(1), p.45 - 48, 1990/01
LiF-BeF系(Flibe)溶融塩は原子力分野でも有用な物質と考えられているが、本稿では溶融LiBeFe中のフッ素の挙動を核磁気共鳴法により解析した。LiBeFの溶融状態におけるFの核スピン格子緩和時間(T)の温度依存性を測定した結果、約813KにTの極少が現われた。これは[BeF]錯イオンからフッ素イオンが離脱し、液中を拡散する機構によって説明される。フッ素の平均跳躍時間は(s)=1.910 exp(1.04(ev)/kT)であった。融点直上の低温領域では、別の機構、すなわち、[BeF]錯イオンの回転によるFの緩和が支配的であり、この領域での活性化エネルギーは、融体の粘性係数の活性化エネルギーに近い値をもつ。
大野 英雄
JAERI-M 84-060, 32 Pages, 1984/03
本報告は過去10年近くにわたり行ってきた、溶融LiBeF、LiBeFおよびNaBeF中のフッ素ならびにカチオンの自己拡散現象について総合的にまとめたものである。これら溶融塩中におけるカチオンの自己拡散係数は、活性化エネルギーも小さく、典型的なアルカリハライド液体と同様な挙動を示す。一方、これら溶融塩中のフッ素の挙動は、活性化エネルギーも大きく、高温で大きな自己拡散係数をもち、溶融アルカリ土類珪酸塩中の酸素と同様な挙動を示す。核磁気共鳴の解析結果と合わせ考えると、跳躍拡散模型(一つの錯イオンからフッ素が解離し、液中を拡散して、h化の錯イオンのF空孔にとらえられる)が、この異常なフッ素の自己拡散現象を説明し得る最も可能性の高い模型のように思われる。
綱脇 恵章*; 大野 英雄; 勝田 博司; 古川 和男
日本化学会誌, 6, p.956 - 960, 1982/00
Na,Fをトレーサーとする毛細管浸漬法により、溶融NaBeF(融点372C)中のナトリウム、フッ素の自己拡散係数D(m,sec)の測定を行い、次の結果を得た。DNa=7.8010exp〔(-4.25.6)10/RT〕(420~560C) DF=4.9310exp〔(-79.66.5)10/RT〕(440~600C)Rの単位はJ.mol.Kである。この結果は、溶融LiBeF,LiBeF中のリチウム、フッ素の結果と同様な傾向を示す。これはすでに報告しているフッ素の交換と回転を伴う拡散機構模型と矛盾しないと言える。
梅咲 則正*; 綱脇 恵章*; 大野 英雄; 岩本 信也*; 古川 和男
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 77, p.169 - 175, 1981/00
最も典型的な溶融フッ化物の一つとして、LiF-NaF-KF(46.5-11.5-42.0mol%entectic)を取上げ、その中のすべてのイオン種の自己拡散係数を測定したものである。Na,K,Fに対してはmass number 24,42,18の放射性同位元素をtracerとすることにより、LiはLiを用いることにより測定された。毛細管法によったが、その詳細は、Li-Be-F系,Na-Be-F系に対して行ったものと同様である。その結果はAnhenius equationsで整理でき、activation energyは30~37J/mol.Kという比較的低い値であって、単純なアルカリハライド溶融塩の値と同程度である。これらかも、我々が過去に示したfluoroberyllate溶融塩におけるFの異常拡散測定の正当性が裏付けられたと考えられる。
大野 英雄; 綱脇 恵章*; 梅咲 則正*; 古川 和男; 岩本 信也*
J.Chem.Res., p.158 - 159, 1978/00
溶融LiBeFおよびFlinak(LiF-NaF-KF共晶混合物)中のフッ素の自己拡散係数を、Fトレーサーとして毛管浸漬法により測定した。溶融LiBeF中およびFlinak中のフッ素の自己拡散係数D(cm/sec)は、D=1.2310exp〔-(29.43.9)10/RT〕(LiBeF),D=2.7710exp〔-(5.011.00)10・RT〕(Flinak)で表わされる。溶融Flinak(LiF-BeF系)中のフッ素の自己拡散現象と溶融珪酸塩中の酸素の自己拡散現象との類似性について考察した。また実験上の誤差となる原因についても考察した。
大道 敏彦; 大野 英雄; 古川 和男
J.Phys.Chem., 80(14), p.1628 - 1631, 1976/00
溶融LiBeF中のフッ素の自己拡散係数をキャピラリー法でFを用い測定した。得られた拡散係数Dは D=6.5310 exp[-(30.63.4)10/RT] で表わされる。拡散係数の値ならびにその活性化エネルギーがともに大きい結果を説明し得る拡散機構として、フルオロベリリウム陰イオンが回転を伴い、しかも近接アニオン間でのフッ素の交換を伴うものであろう。
大道 敏彦; 大野 英雄; 工藤 博司; 古川 和男
溶融塩, 16(2), p.231 - 242, 1973/02
溶融LiBeF中の弗素の自己拡散係数を毛管浸漬法により測定した。トレーサーにはLiCOを原子炉照射後、実験室で分離調整した半減期1.8hのFを用いた。拡散係数Dは、D=1.4210exp(-31.710/RT)(500~650C)として与えられた。大きな活性化エネルギーは、弗素はイオン径の大きいBeFとして拡散することによると推論した。また電気伝導度との関連についても議論した。